2014年 12月 11日
人類最強の熱愛 感想【メフィスト2014vol.3】 |
メフィストの2014.vol3を買ってきました。
本誌には、西尾維新の作品として「掟上今日子のアリバイ証言」と「人類最強の熱愛」が2作載っていますが(合わせて10万字らしい)、これをどちらから読むかは、西尾フォロワーとしては非常に悩ましい問題でした。安心院さんあたりに言わせれば、そんなのどっちでも同じと言われそうな話ですけど、私の様な凡人ですから大いに悩みました。
結果、何故「人類最強の熱愛」を先に読むことにしたのかは、何でだったのかよく分かりません。きっと潤さんの事が好きなんでしょうね。
本誌には、西尾維新の作品として「掟上今日子のアリバイ証言」と「人類最強の熱愛」が2作載っていますが(合わせて10万字らしい)、これをどちらから読むかは、西尾フォロワーとしては非常に悩ましい問題でした。安心院さんあたりに言わせれば、そんなのどっちでも同じと言われそうな話ですけど、私の様な凡人ですから大いに悩みました。
結果、何故「人類最強の熱愛」を先に読むことにしたのかは、何でだったのかよく分かりません。きっと潤さんの事が好きなんでしょうね。
【追記】
同時掲載、掟上今日子のアリバイ証言、感想。
http://tomoealone.exblog.jp/23291460/
【追記ここまで】
この人類最強の熱愛は、2014vol.1の人類最強の初恋、vol.2の人類最強の失恋、に続く最強シリーズ3作目です。戯言シリーズに登場していた、人類最強・哀川潤の物語です。最初に読んだ時は、哀川潤の一人称で小説なんか出来るのかよと、半信半疑で読み進めていたものですが、ここまで読み続けると「これはこれで味があるとも言えるかな」なんて思えてしまうので不思議なものです。
今回の「熱愛」の中で言われていた事ですけど、最強すぎるがゆえに語り部をしてくれるパートナーがいないというのがもどかしいところですね。出来るとしたらあの戯言遣いしかいないと思いますが。しかし戯言遣いは語り部業を引退したはずなので。
前回、前々回と、シースルー、ストーンズという難しいターゲットを相手に仕事の依頼を受けてきた潤さん、さて今回その続きとなると、果たして一体何が出てくるのかと想像すら難しい領分でした。例によってネタバレをしない程度に言うと、喜連川博士の関係のもので、確かにあの最高にイカレた偏屈研究者ならば、シースルー、ストーンズ、そして哀川潤に匹敵するなと納得しました。
喜連川博士の研究テーマ・依頼はそれはそれは恐ろしい、おぞましいものでした。命にかかわるマッドな感じのサイエンスです。そしてその解決、結末はいかにと。
これを読んだ後の、最初の私の感想は「こいつ、やべぇよ」でした。
具体的に何がやべぇのかと言われれば、生命・人類に対して、ここまでぶっ飛んだ発想が出来る事……ではありませんでした。ぶっ飛ぶだけだったら、色々な作家さん、誰とは言いませんけど、他の作品でも見る事が出来ると思うのです。
そうじゃなくて、そこまでぶっ飛んでいながら、「だって――命を殺すなんて、かわいそうじゃない」と博士が言うところです。終始一貫してネジが抜けてイカレちゃってる作家の作品ならあります。徹頭徹尾、命の大切さを唱える作品もあります。でも、この両方を同時に提出する人間がかつて今までいたでしょうか。なんでそこからそこまでの考えが浮かぶ訳ですか? みたいな。振れ幅が尋常じゃない。
それから、博士の提唱する新しい生命体に関しても、ヤバさを感じざるを得ませんでした。多分これは多くの人にはピンとこないヤバさだと思うんですが、あのー、人間シリーズで言われていた「哀川潤のような目に見える強さ」と「直木飛縁魔のような静かな強さ」の対比を例えとして挙げてみたとして、このヤバさは「静かな」方のヤバさだと思います。
登場人物が全員化物みたいな思考回路をしているから、さらっと流されるように進行した感がありましたが、あの「フレア」という発想のヤバさは、どうしようもないくらいヤバいっていうか、この世のどんな強調句をくっつけても表現できないって言ってたっけ、とても伝わりづらいけど非常にまずいんじゃないかという奴でした。
この静かなヤバさを伝える為には、やはりあの場には凡人が、ホームズに対するワトソンみたいな人がいてくれないとダメなんだと思います。凡人と言わずともせめて石丸小唄。それを省略した様な描写、話の展開も、これは、付いてこれない人はきっと全然普通で、それが一般なんでしょうけど、ヤバいをヤバいのまま、スッと差し出した西尾維新に、私はどういう感情を持つべきなんでしょうか。よくぞやってくれたと言うべきか、もうちょっと丁寧に書いた方が分かりやすいなのか、でも丁寧に書くことによって逆にヤバさが際立たないんじゃないかとか。
【追記ここまで】
この人類最強の熱愛は、2014vol.1の人類最強の初恋、vol.2の人類最強の失恋、に続く最強シリーズ3作目です。戯言シリーズに登場していた、人類最強・哀川潤の物語です。最初に読んだ時は、哀川潤の一人称で小説なんか出来るのかよと、半信半疑で読み進めていたものですが、ここまで読み続けると「これはこれで味があるとも言えるかな」なんて思えてしまうので不思議なものです。
今回の「熱愛」の中で言われていた事ですけど、最強すぎるがゆえに語り部をしてくれるパートナーがいないというのがもどかしいところですね。出来るとしたらあの戯言遣いしかいないと思いますが。しかし戯言遣いは語り部業を引退したはずなので。
前回、前々回と、シースルー、ストーンズという難しいターゲットを相手に仕事の依頼を受けてきた潤さん、さて今回その続きとなると、果たして一体何が出てくるのかと想像すら難しい領分でした。例によってネタバレをしない程度に言うと、喜連川博士の関係のもので、確かにあの最高にイカレた偏屈研究者ならば、シースルー、ストーンズ、そして哀川潤に匹敵するなと納得しました。
喜連川博士の研究テーマ・依頼はそれはそれは恐ろしい、おぞましいものでした。命にかかわるマッドな感じのサイエンスです。そしてその解決、結末はいかにと。
これを読んだ後の、最初の私の感想は「こいつ、やべぇよ」でした。
具体的に何がやべぇのかと言われれば、生命・人類に対して、ここまでぶっ飛んだ発想が出来る事……ではありませんでした。ぶっ飛ぶだけだったら、色々な作家さん、誰とは言いませんけど、他の作品でも見る事が出来ると思うのです。
そうじゃなくて、そこまでぶっ飛んでいながら、「だって――命を殺すなんて、かわいそうじゃない」と博士が言うところです。終始一貫してネジが抜けてイカレちゃってる作家の作品ならあります。徹頭徹尾、命の大切さを唱える作品もあります。でも、この両方を同時に提出する人間がかつて今までいたでしょうか。なんでそこからそこまでの考えが浮かぶ訳ですか? みたいな。振れ幅が尋常じゃない。
それから、博士の提唱する新しい生命体に関しても、ヤバさを感じざるを得ませんでした。多分これは多くの人にはピンとこないヤバさだと思うんですが、あのー、人間シリーズで言われていた「哀川潤のような目に見える強さ」と「直木飛縁魔のような静かな強さ」の対比を例えとして挙げてみたとして、このヤバさは「静かな」方のヤバさだと思います。
登場人物が全員化物みたいな思考回路をしているから、さらっと流されるように進行した感がありましたが、あの「フレア」という発想のヤバさは、どうしようもないくらいヤバいっていうか、この世のどんな強調句をくっつけても表現できないって言ってたっけ、とても伝わりづらいけど非常にまずいんじゃないかという奴でした。
この静かなヤバさを伝える為には、やはりあの場には凡人が、ホームズに対するワトソンみたいな人がいてくれないとダメなんだと思います。凡人と言わずともせめて石丸小唄。それを省略した様な描写、話の展開も、これは、付いてこれない人はきっと全然普通で、それが一般なんでしょうけど、ヤバいをヤバいのまま、スッと差し出した西尾維新に、私はどういう感情を持つべきなんでしょうか。よくぞやってくれたと言うべきか、もうちょっと丁寧に書いた方が分かりやすいなのか、でも丁寧に書くことによって逆にヤバさが際立たないんじゃないかとか。
そういえば想影真心の名前を出していましたが、「まごころ」と「ふれあい」と、言葉の持つ意味のベクトルが似ている点で、意識したのでしょうかね。
ともかく。
初恋、失恋と、難しいテーマが続きましたが、今回の「熱愛」も少々難しい、考えさせられる話です。
しかしながら、こういうややこしさをきちんと受け止めるようになった哀川潤に、時の流れを感じるべきなのかもしれません。以前の彼女であれば、差し出された3本のケーブルを「めんどくさい」と一蹴して、全部引きちぎってしまうような展開に持って行ったはずです。
物語シリーズでは阿良々木くん達の成長が見て取れましたが、潤さんも成長かは分からないけど、変化しつつある。それを改めて認識させられました。
ああ、あと「プラチナむかつく」で吹きました。
では、これから「掟上今日子のアリバイ証言」の方も読みたいと思います。忘却探偵のアリバイ証言とは、一体何なのかタイトルだけでそそられますね。
あー、零崎軋識の人間ノック第4球も書いてなかった。まあいいや、今日は無理、また今度。
ともかく。
初恋、失恋と、難しいテーマが続きましたが、今回の「熱愛」も少々難しい、考えさせられる話です。
しかしながら、こういうややこしさをきちんと受け止めるようになった哀川潤に、時の流れを感じるべきなのかもしれません。以前の彼女であれば、差し出された3本のケーブルを「めんどくさい」と一蹴して、全部引きちぎってしまうような展開に持って行ったはずです。
物語シリーズでは阿良々木くん達の成長が見て取れましたが、潤さんも成長かは分からないけど、変化しつつある。それを改めて認識させられました。
ああ、あと「プラチナむかつく」で吹きました。
では、これから「掟上今日子のアリバイ証言」の方も読みたいと思います。忘却探偵のアリバイ証言とは、一体何なのかタイトルだけでそそられますね。
あー、零崎軋識の人間ノック第4球も書いてなかった。まあいいや、今日は無理、また今度。
by tomoe-alone
| 2014-12-11 23:18
| 西尾維新